こんにちは、すずめです。娘のブックスタートで差し出された絵本が「いないいないばあ」でした。「もう持ってるんです……」とお伝えしたところ他の絵本にかえてくれたのですが、「あ、ですよね……」と言われたのがすごく印象に残っています。どうやらその場にいるほとんどのご家庭が「いないいないばあ」を持っていたようです。
それもそのはず、日本一売れている絵本が松谷みよ子の「いないいないばあ」で、2位以下と大きな差をつけているのです。本記事ではその概要や魅力を紹介するだけでなく、「怖い」「子どもが泣く」などの感想についても考察をしていきます。
・絵本「いないいないばあ」について詳しく知りたい
「いないいないばあ」の情報をさらっと確認!
作者は松谷みよ子?
タイトルの横に「松谷みよ子 赤ちゃんの本」と書かれているため誤解されがちなのですが、実はイラスト部分は瀬川康男さんが担当しています。同じシリーズの「もうねんね」「いいおかお」なども同様です。
そもそも、松谷みよ子さんは児童文学作家として活動された方です。そのため、この絵本では構成や文章などを担当されました。
何万部売れているの?
この絵本は「日本一売れた絵本」として有名ですが、累計販売数はなんと700万部を超えています。2位の「ぐりとぐら」が500万部台である点からも、この数字の大きさとすごさがわかります。
ちなみに700万部を超えたのが2020年で、2022年の調査ではすでに720万部を突破したことがわかっています。これからも数字が伸びていきそうな、多くの人に愛されている絵本です。
初版はいつ発行された?
初版が発売されたのは1967年です。その翌年に川端康成がノーベル文学賞を受賞していることからも、かなり古い絵本だといえます。当時はまだ赤ちゃん向けの絵本がほとんどなく、この本が初めての本格的な赤ちゃん絵本だったとそうです。
出版社はどこ?
「いないいないばあ」の出版社は童心社で、児童書や紙芝居を中心に手がけている会社です。他に有名な出版物に、14ひきのねずみシリーズや怪談レストランシリーズがあります。
絵本のあらすじは?
この絵本はくまやねこなどが順番にいないいないばあをしていくものなので、ストーリーはありません。それでもあえて説明するならば、動物が順番にいないいないばあをし、最後は人間の子どもがいないいないばあをするというものです。
登場する動物は、順番にねこ・くま・ねずみ・きつねの4匹です。最後の子どもは「のんちゃん」と名前が付いていますが、読んであげる赤ちゃんの名前に変えて読んでいる方も多いのではないでしょうか。
どうしてこんなに人気なの?
「いないいないばあ」がこんなに人気なのは、いつの時代も赤ちゃんの心を掴み続けているからです。では、この絵本のどの部分が赤ちゃんを惹きつけるのでしょうか。考察し、わたしなりに答えをまとめてみました。
1.迫力があり顔が現れたのがわかりやすい
表紙の絵からもわかるように、瀬川康男さんの絵は目がぱっちりと大きく、赤ちゃんが見てもそこに顔があるのがよくわかります。目力があるため迫力もあり、そこに顔が現れたというインパクトが強く感じられます。
2.ちょうどいい長さで何度も読んでほしくなる
赤ちゃんは、長い本を読むと途中で飽きてしまうことがあります。一方でこの本は動物が4匹と人間が1人しか登場せず、あっという間に読めてしまいます。そのため「もっと読んでほしい!」と感じやすく、繰り返し楽しみたくなるのです。
3.松谷みよ子さんの思いが詰まっている
これは最後にして最大のポイントです。この絵本は、松谷さんが2人目を身ごもっているときに作ったといいます。その際、編集長に「0歳からの絵本をつくりたいの。0歳からの文学があると思うの」と働きかけたのだそうです。(『子どもを見つめて 稲庭桂子遺稿集』より引用)
今でこそいないいないばあの絵本は多く発行されていますが、この頃、いないいないばあはただの伝承遊びにすぎませんでした。それを、どうしたら赤ちゃんが笑ってくれるか、楽しんでくれるか、松谷さんが試行錯誤した上で絵本にしたのです。
こうして赤ちゃんたちのことを深く思い作られた本だからこそ、半世紀以上が経った今でも赤ちゃんの心を掴むのではないでしょうか。そして育った子どもたちが親になり、また次の世代に読んであげることで脈々と続いていくのだと思います。
絵が怖い・泣くという感想も……
絵本が人気の一方で、中には「絵が怖い」「表紙を見ただけで泣く」などの感想も見受けられます。実際、わたし自身も初めて見たときに「怖い!」と感じたうちのひとりです。
怖いと感じる理由には、大きく描かれた目やクセのある文字の雰囲気にある可能性が高そうです。別記事にて詳しく解説していますので、興味がある方はそちらをご覧ください。
いないいないばあの絵本は他にもたくさん!
松谷みよ子のいないいないばあが出版されて以降、「いないいないばあ」を題材にした絵本がたくさん発刊されています。しかけがあるものやさわってたのしめるもの、キャラクターのものなど種類は豊富です。
たくさんある絵本の中からいないいないばあ絵本のおすすめを紹介した記事がありますので、気になる方はそちらもぜひチェックしてみてください。
さいごに
松谷みよ子のいないいないばあは、初めての絵本におすすめされるほど知名度が高く、日本に浸透している名作です。まだ読んだことがない方はぜひ一度手に取って、その魅力を自分の目で確かめてみてください。