こんにちは、すずめです。娘がアンパンマンにハマって数ヶ月経ち、おもちゃや絵本、音楽などあらゆるものがアンパンマンだらけの日々を送っています。
アンパンマンの人気の理由はたくさんありますが、数多く登場する個性的なキャラクターたちは大きな魅力のひとつですよね。意外と細かい設定があったりして、ついアニメや原作絵本をチェックしてしまいます。
本記事では、性別・声優・持ち歌などをはじめとするプロフィールや、いつからアニメに登場しているか、絵本の初登場はどれなのかなどの細かい情報を中心に解説しています。また、ネットで探してもわかりにくい疑問点などについてもできるだけ記載しました。ぜひご覧ください。
はじめに
◆キャラクターの情報については出典がはっきりしているものを記載していますが、噂や疑問点などについては筆者の主観も多く含まれています。ご了承ください。
◆初登場(絵本)の出版年や出版された順番に関しては、国立国会図書館のデータベースをもとに記載しています。
◆声優については、一時的な代役は記載せず、主にキャラクターの声としてよく知られている方の名前と現在担当されている方の名前を記載しています。
アンパンマン
名前 | アンパンマン |
---|---|
性別 | 男 |
モチーフ・名前の由来 | あんぱん |
初登場(絵本) |
1973年(1976年):あんぱんまん ※1973年はお話が掲載された「キンダーおはなしえほん10月号」の出版年。絵本は1976年に発行。 |
初登場(アニメ) | 1988年:第1話「アンパンマン誕生」 |
関係の深い仲間 | カレーパンマン・しょくぱんまん |
持ち歌・テーマソング |
アンパンマンのマーチ など |
声優 | 戸田恵子 |
パン焼き窯に「いのちの星」が降ってきて生まれた!
アンパンマンは、あんぱんにいのちの星が宿ったことで誕生しました。アニメの第1話では、「生きているパンを作りたい」と願ったジャムおじさんのパンに流れ星が降り注ぎ、アンパンマンが生まれるまでが描かれています。
誕生秘話についてはアニメの1話目だけでなく、絵本「アンパンマンたんじょう」や短編映画「アンパンマンが生まれた日」などでも描かれています。短編映画は公式Youtubeで無料公開されているので、観たことがない方はぜひチェックしてみてください。
映画「アンパンマンが生まれた日」【アンパンマンアニメ公式】 - YouTube
顔の中身はこしあんではなくつぶあん
あんぱんというと、こしあんとつぶあんの2種類が一般的です。アンパンマンの中身はつぶあんであることが、作者のやなせたかし氏によって明らかにされています。映画など細かく描かれた作画を見ると、あんこがつぶつぶしているのがわかることがあります。
アンパンマンをつぶあんにした理由に関しては、「自分(やなせ氏本人)がつぶあん好きだから」「つぶあんが脳みそのようだから」などいろいろあるようです。
「勇気の花」のジュースが入ったあんこが元気の秘密
実は、顔に入っているあんこはただのつぶあんではありません。「勇気の花」のジュースが練り込まれており、これがアンパンマンの元気の秘密となっています。
ちなみに、映画「勇気の花がひらくとき」で勇気の花を使わずに顔を作ったときには、新しい顔に取り替えても「元気3倍」にしかなりませんでした。
あんぱん以外のものになることも
あんぱんだからこそのアンパンマンなのですが、ときどき中身が違うものになることがあります。栗餡が入って語尾が変わったり、クリームが入って声優が変わったりと、中身が変わることで想像を超えるキャラクターの変化が起こります。
また、顔が揚げられてあんドーナツになったり、そもそもあんぱんではなくアップルパイで顔を作ってもらったりと、斜め上の展開も多くあったようです。
通常時以外のアンパンマンについては、おもしろいものがとても多いので、気になる方はWikipediaの「#変装と変身のバリエーション」をご覧ください。
アンパンマンがものを食べたり飲んだりする描写はほぼない
初期を除き、アンパンマンが何かを食べたり飲んだりしている描写はありません。みんなが集まって食事をしているシーンでも、アンパンマンはみんなが食べるのをにこにこ見守っているだけです。これまで気にしたことがなかった方は、ぜひアニメ等を意識してみてください。本当に一切手をつけていません。
これについては、やなせ氏が意図的にそうしていることがわかっています。ユリイカのやなせたかし特集号の対談ページで、やなせ氏と戸田恵子さんがアンパンマンの飲食について話題にしていました。
なぜそう描いているのか、理由については明言していませんでしたが、アンパンマンを「与える側」として描き切っていることと関係しているのかな、と個人的には思います。なお、Q&Aのページでは以下のように記載がありました。
Q.アンパンマンが食事をするシーンを見たことがありません。何も食べないの?
頭の中にあんこが入っています。アンパンマンは、そのあんこがエネルギーになっているから、食事をする必要がないんですよ。
誕生日はいつ?
アンパンマンが生まれた経緯ははっきりわかっていますが、絵本やアニメで描かれているそれが何月何日なのかについては明言されていません。ただ、さまざまな説があり、誕生日とされている日がいくつかあります。
①2月6日……やなせたかし氏と同日説。ファンの子にアンパンマンの誕生日を聞かれ、設定を決めていなかったやなせ氏が自分の誕生日を答えた。
②10月3日……初放送日を誕生日とする説。
アニメや短編映画などの誕生秘話では、アンパンマンが誕生してすぐにばいきんまんも生まれた様子が描かれています。「ドキンちゃんのドキドキカレンダー」でばいきんまんの誕生日が10月だとわかっていることを加味すると、アンパンマンの誕生日を10月3日と考えた方が辻褄が合いそうです。
カレーパンマン
名前 | カレーパンマン |
---|---|
性別 | 男 |
モチーフ・名前の由来 | カレーパン |
初登場(絵本) |
1981年:アンパンマンのサンタクロース |
初登場(アニメ) | 1988年:第2話「アンパンマンとカレーパンマン」 |
関係の深い仲間 | アンパンマン・しょくぱんまん |
持ち歌・テーマソング | |
声優 | 柳沢三千代 |
パン工場ではなく「カレーが丘」で生活している(らしい)
アンパンマンたちとは異なり、カレーパンマンはパン工場で生活していません。Wikipediaやファンサイトでは「カレーの国にあるカレーが丘で生活している」という旨のことが書かれていますが、出典については見つけられませんでした。
初登場の漫画版ではアンパンマンと兄弟だが……
カレーパンマンはその他のキャラクターと違い、媒体によって誕生の経緯が異なっています。
カレーパンマンが初めて登場したのは漫画版で、アンパンマンがジャムおじさんに弟を作ってほしいと頼み、カレーパンマンが誕生するという経緯が描かれました。そのため、漫画版では2人が兄弟ということになります。
一方のアニメ版では、カレーパンマンがジャムおじさんに作られたことは明らかになるものの、アンパンマンとカレーパンマンは初対面のようでした。
同じくジャムおじさんに作られたのであれば兄弟といってもいい気がしますが、アンパンマンとメロンパンナちゃんは兄妹と表現されないことを考えると、アンパンマンとカレーパンマンの関係性も兄弟と言い切り難いのかな……と思います。
しょくぱんまんとは不仲?ケンカになりがち……
カレーパンマンとしょくぱんまんは相性があまりよくないようで、ときどき言い合いをすることもあります。短気で俺様気質のカレーパンマンにとって、真逆であるキザで王子様タイプのしょくぱんまんは苦手のようです。
だからといって不仲なわけではなく、戦うときは共に戦い、協力しあっています。また、特定の仕事を持たない(描かれていない)カレーパンマンが、しょくぱんまんの仕事を手伝っている様子も描かれています。
「カレーパンマン号」もあるの?
ジャムおじさんたちが移動するときに使う「アンパンマン号」、しょくぱんまんがパンの配達に使うトラック「しょくぱんまん号」はありますが、残念ながら「カレーパンマン号」は今のところ登場していません。
ただ、現実世界に「カレーパンマン号」という名の列車が走っていたことがあります。JR四国のラッピング車で、2001年から2019年までの18年間運行していたとのことです。
「汚い!」という声があがってしまう理由……
グーグルなどの検索エンジンで「カレーパンマン」と入力すると、サジェストに「汚い」という言葉が出てくることがあります。カレーパンマンに「汚い!」というイメージを持っている方がいるのは、カレーパンマンの攻撃方法に理由があります。
カレーパンマン独自の戦い方に、カレーを使用した攻撃があります。それが、激辛で熱々のカレーを口から放出するというものなんです。口から食べ物を勢いよく吹き出して、それを敵に当てているので、「それはちょっと汚いのでは!?」と思われてしまうんでしょうね……。
ちなみに、カレーは無限に出てくるわけではなく、ある程度の量を攻撃で使うと顔がしぼんでしまいます。すると補充が必要になるため、ジャムおじさんたちがカレーを食べさせくれます。その描写があることで、口に入れたものを吐き出している感が強くなってしまうのも大きいかもしれません。
「カレーパンマン 放送事故」って何?
「放送事故」は、テレビやラジオの放送時、予想外の事態が起きたときなどに使われる言葉です。「カレーパンマン」のサジェストに「放送事故」という言葉が出ることがあるのですが、アニメなのに放送事故ってどういうこと?と不思議に思いますよね。
実はこれ、カレーパンマンがカレーをふるまうときの行動について、半分ネタのように言われている言葉なんです。無料公開されている公式動画には問題のシーンがないため、ある回でのカレー作りシーンを、文章でご紹介します。
カバおくんやネコみちゃんたちといっしょに、カレーを作るカレーパンマン。みんなは歌いながらじゃがいもやにんじんなどの具材を入れ、カレーパンマンが炒めて調理をする。あとはカレールーを入れるだけになり、カレーパンマンは「特製カレーだぜ!」と笑顔で言って、口からカレーを吐いて鍋に入れる。
途中までわたしたちのよく知っているカレーの作り方だったのに、突然口からカレーを投入するので、ぼんやり見ているとぎょっとしてしまうお料理シーンでした。
ときどきこうしてインパクトのあるカレー作りが描かれるため、「これは放送事故だろ……」とネタにされてしまうようです。とはいえアンパンマンの世界では誰も気にしていないので、これが汚く思えるのは人間的な見方なのかもしれませんね。
しょくぱんまん
名前 | しょくぱんまん |
---|---|
性別 | 男 |
モチーフ・名前の由来 | 食パン |
初登場(絵本) |
1981年:あんぱんまんとしょくぱんまん |
初登場(アニメ) | 1988年:第3話「アンパンマンとしょくぱんまん」 |
関係の深い仲間 | アンパンマン・カレーパンマン |
持ち歌・テーマソング | |
声優 | 島本須美 |
アニメでは「トースター山」の出身の設定
絵本では、アンパンマンとカレーパンマン同様に、しょくぱんまんもジャムおじさんに作られたと明記されています。一方、アニメでは「トースター山」で生まれた設定になっており、1998年発行の「アンパンマン大研究」にもそのように記述がありました。
ところが、アンパンマン・しょくぱんまん・カレーパンマンの3人が歌うキャラクターソング「ぼくらはヒーロー」に、「アニメ版のしょくぱんまんもジャムおじさんが作ったのでは?」と思わせられる歌詞があります。
パンの仲間の兄弟さ
おんなじ釜の熱い火に
焼かれてできた僕らだよ
ぼくらはヒーロー(作詞:やなせたかし)より引用
この曲では、3人の関係性を「兄弟」と言い切っています。また、歌詞の「おんなじ釜」が「パン工場のパン釜」を指しているのは明らかです。この言い方だと、しょくぱんまんもパン工場出身だと受け取ることもできますよね。
とはいえ、「兄弟」のような存在という意味で歌っているということもありえます。また、「おんなじ釜の熱い火」で誕生した、とまでは言っていないので、しょくぱんまんがパン工場出身であると言い切ることもできないように思えます。
また、パン工場では、しょくぱんまんの顔が汚れたときに顔を焼いてあげることもあるので、それのことを歌っているのだという解釈もできてしまいますね。
やなせ氏が亡くなっている以上、今後しょくぱんまんの誕生について、詳しくわかることもなさそうです。一人ひとりが自分の好きなように解釈してもいいところなのかもしれません。
トラック「しょくぱんまん号」でパンを配っている
しょくぱんまんの愛車は、しょくぱんの形をモチーフにしたトラック「しょくぱんまん号」です。トラックにパンを積んで、学校や、町から離れたところに住む人に届けるのを仕事にしています。
ジャムおじさんのパン工場で焼いたパンを運ぶこともありますが、「アンパンマン大研究」によると、トースター山の近くにある別のパン工場で作ったパンを届けているのだそうです。ただ、この「別のパン工場」については、誰も見たことがない「幻のパン工場」であると、作者自らが語っています。
二枚目イケメンキャラだがキザすぎる一面も
しょくぱんまんはイケメンキャラとして描かれており、アニメなどで行動を見ている限りでは、本人にもその自覚があるのがわかります。それを鼻にかけることはしませんが、キザなふるまいで周りを困惑させるシーンも時折描かれています。
特にカレーパンマンは、しょくぱんまんのキザな性格と反りが合わず、言い争いになることが多いようです。しょくぱんまんもそれに乗るのでケンカになるのですが、その点が、仲間とはケンカをしないアンパンマンとの大きな違いですよね。
「性格悪い!」と思われることがあるのはなぜ?
Googleなどで「しょくぱんまん」と検索しようとすると、候補欄に「性格悪い」という言葉が出てきます。だからといって、しょくぱんまんが性格の悪いキャラクターだと公式で設定されているわけではありません。
むしろ、しょくぱんまんは誠実で優しいキャラクターとして描かれており、みんなに慕われている存在です。「性格悪い」というのは一部の視聴者の感想であり、作中では誰もそんなことは思っていないはずです。(そうであってほしい)
これは完全にわたしの主観ですが、しょくぱんまんのキザで格好つけがちなところや、ナルシストで自分の魅せ方がわかっているところなどが、謙虚をよしとする日本人の反感を買いやすいのではないかと思います。
また、ドキンちゃんの好意を知っていながら優しくするところが「思わせぶり」と捉えられてしまうこともあるのではないでしょうか。まあ、ドキンちゃんを勘違いさせるほどの言動でもないので、それは問題ないのかもしれませんが……。
メロンパンナ
名前 | メロンパンナ |
---|---|
性別 | 女 |
モチーフ・名前の由来 | メロンパン |
初登場(絵本) |
1992年:アンパンマンとマオーのしろ |
初登場(アニメ) | 1992年:第200話「メロンパンナちゃん誕生」 |
関係の深い仲間 | ロールパンナ |
持ち歌・テーマソング | |
声優 | かないみか |
アニメでは200話で初登場!
メロンパンナはすっかりおなじみのキャラクターですが、最初から登場していたわけではありません。初登場は1992年に放送されたアニメの200話でした。
愛の花の蜜で作られた「優しさ」のキャラクター
アンパンマンが「勇気」を象徴するキャラクターであるのに対し、メロンパンナは「優しさ」を象徴するキャラクターとして描かれています。アニメでは、ジャムおじさんが「勇気と同じくらい大切な愛のあるパン」を作ろうとしてメロンパンナを作っていました。
「勇気と愛が大切」というジャムおじさんの考えは、やなせ氏の考えそのものです。インタビューなどでもそういった発言が多くありますし、アンパンマンのマーチに「愛と勇気だけが友達さ」という歌詞があることからも、やなせ氏が愛と勇気を同列に考えているのがわかります。
なお、アンパンマンの顔には勇気の花のジュースが含まれていますが、メロンパンナには「愛の花」の蜜が入っています。
メロメロパンチは敵の戦意を喪失させる技
メロンパンナのパンチは「メロメロパンチ」という攻撃で、勢いや威力はありませんが、当たった相手の戦意を喪失させるという特徴があります。敵を倒すのではなく、そもそも戦いをしないように仕向けるというのが、「愛」を象徴するメロンパンナらしいですよね。
姉のロールパンナを「おねえちゃん」と呼び慕っている
メロンパンナは、姉であるロールパンナが大好きです。困難な状況に陥ったときには「おねえちゃん」とロールパンナを呼ぶことも多く、誰よりも慕っていることがわかります。
ちなみに、メロンパンナが助けを求めると、ロールパンナは遠くにいてもそれを感じ取り、助けにきてくれます。
ロールパンナ
名前 | ロールパンナ |
---|---|
性別 | 女 |
モチーフ・名前の由来 | ロールパン |
初登場(絵本) |
1995年:アンパンマンとロールパンナ |
初登場(アニメ) | 1994年:第300話「ロールパンナのひみつ」 |
関係の深い仲間 | メロンパンナ |
持ち歌・テーマソング | |
声優 | 冨永みーな |
メロンパンナちゃんとの関係は姉妹
ジャムおじさんが新しい仲間を作ることになったとき、メロンパンナが「おねえちゃんがほしい」と言ったため、ジャムおじさんはそれを叶えてあげることにしました。そのため、ロールパンナはメロンパンナよりあとに生まれたのにお姉ちゃんの立場となっています。
パンの仲間たちの中で、兄弟・姉妹の関係がはっきりしているのはこの2人だけです。
まごころ草とバイキン草のエキスで正義と悪の心を持つ
アンパンマンには「勇気の花」、メロンパンナには「愛の花」が含まれているように、ロールパンナには「まごころ草」という10年に一度しか咲かない珍しい植物が入っています。
ところが、ばいきんまんがこっそり「バイキン草」のエキスも入れてしまったため、ロールパンナは善と悪のふたつの心を持って誕生してしまいました。
胸のハートが心の変化を表す
ロールパンナの状況は、小さい子にとって複雑な設定ではありますが、胸に描かれた2つのハートがロールパンナの心の変化をうまく表現しています。
胸のハートはロールパンナの心に対応しており、いい心が強いときは赤いハートが光り、悪い心が強くなると青いハートが光ります。ちなみに、善悪のあいだで葛藤するときは両方のハートが交互に光ります。
悪の心が強くなるとブラックロールパンナに
ロールパンナの外見が真っ黒になった姿は「ブラックロールパンナ」と呼ばれる状態で、良心を一切持たず、アンパンマンたちにも容赦無く攻撃をしてきます。
ブラックロールパンナになるのは善の心よりも悪の心の方が強くなったときです。これまでに、バイキン光線を浴びたときや、まごころ草を抜き取られてしまったときなど、さまざまな場合でブラックロールパンナになっています。
クリームパンダ
名前 | クリームパンダ |
---|---|
性別 | 男 |
モチーフ・名前の由来 | クリームパン・パンダ |
初登場(絵本) | 不明※ |
初登場(アニメ) | 1998年:第469話「アンパンマンとクリームパンダ」 |
関係の深い仲間 | メロンパンナ |
持ち歌・テーマソング | |
声優 | 長沢美樹 |
※「アンパンマンにはないしょ」や「アンパンマンとおえかきベレちゃん」に登場しているのは確認できたのですが、初登場についてはわかりませんでした。情報をお持ちの方は教えていただけると幸いです。
カスタードの国からやってきた男の子
クリームパンダはカスタードの国からやってきた設定で、パン工場出身ではありません。カスタードの国自体は詳しく描かれておらず、なぜパン工場に来たのかも不明です。
性別は男の子なのですが、「〇〇マン」でなく「〇〇パンナ」に近い名前であることや、ちゃん付けで呼ばれていることなどにより、女の子と間違えて認識している方も多いようです。
名前も間違えられがち?「クリームパンナ」じゃない!
クリームパンダは性別だけでなく、名前も間違えられやすいキャラクターです。メロンパンナとロールパンナがいるせいか、「クリームパンナ」と呼んでいる人をたまに見かけます。(わたしの妹がそうでした)
名前になぜ「パンダ」がつくのかというと、自分のことを「クリームパンだ!」と言ったのに、「クリームパンダ」と名乗っているのだと間違えられてしまったためです。作中でも名前を間違えられているんですね……。
ちなみに、名前に関するエピソードはテーマソングである「ぼくはクリームパンダ」でも歌われています。「しかたがない しかたがない」という歌詞もあり、クリームパンダという名前を受け入れているのがわかります。
なお、実際にはどんな名前なのか、そもそも「クリームパンダ」ではない名前があったのかどうかは、特に言及されていません。「クリームパン」という名前だったのかもしれません。
兄弟・姉妹はいないが弟分的存在
前述の通り、クリームパンダはジャムおじさんに作られたわけではないので、パンの仲間たちの中に兄弟・姉妹はいません。でも、メロンパンナのことを「おねえちゃん」と呼び、慕っています。
また、メロンパンナの姉であるロールパンナのことも「おねえちゃん」呼びをしています。ふたりにとっては実際の弟ではありませんが、弟分という存在としてかわいがられているようです。
「グー・チョキ・パンチ」はグーだけでなくチョキ・パーのこともある
クリームパンダの頭はよくあるクリームパンの形なのですが、グローブにもよく似ています。その形を生かし、頭でグー・チョキ・パーを作って攻撃する「グーチョキパンチ」が得意技です。
攻撃するときは「グー・チョキ・パンチの……グー!」という掛け声と共に、頭でグーを作りパンチ(頭突き?)をします。出すものは「グー」が多いのですが、状況に応じてチョキやパーを出すこともありました。
ジャムおじさん
名前 | ジャムおじさん |
---|---|
性別 | 男 |
モチーフ・名前の由来 | ジャム |
初登場(絵本) |
1973年(1976年):あんぱんまん ※「ぱんつくりのおじさん」として登場。名前の初出は「それいけ!アンパンマン」? |
初登場(アニメ) | 1988年:第1話「アンパンマン誕生」 |
関係の深い仲間 | バタコさん |
持ち歌・テーマソング | |
声優 | 増岡弘→山寺宏一 |
正体は人間ではなく「妖精」
ジャムおじさんとバタコさんは「作中唯一の人間キャラ」のようにも思えますが、実はパン工場の二人は人間ではありません。やなせ氏いわく、二人は「人ではなく妖精に近い存在」なのだといいます。
アンパンマンの世界には人間は存在しないことになっています。これはアンパンマンwebサイトのQ&Aに記載があるほか、ときどき話題にもなる話なので、知っている方も多いかもしれません。
「年齢」という概念はないらしいが……
アンパンマン大研究によると、ジャムおじさんをはじめとし、キャラクターたちは歳を取らないのだといいます。ところが、ジャムおじさんが歳をとったのがわかるアニメエピソードが放送されました。2023年10月6日放送の、「ジャムおじさんとアンパンマン」です。
このお話では、ジャムおじさんがパン作りをはじめたきっかけが描かれているのですが、その中で少年時代の描写もありました。幼い頃のエピソードがあるということは、今に至るまでに歳を重ねたということになります。
なお、前述の通り、ジャムおじさんは妖精であるため、年齢を人間と同じ尺度で測れるのかどうかはわかりません。とはいえ「おじさん」という言葉がついているくらいなので、妖精のなかでも中年にあたるのではないかと想像できます。
バタコさんとの関係は?
アンパンマンの世界では、血縁関係の概念がありません。作者のやなせたかしさんは、少なくとも二人が親子などではなく、「無関係」であることを明言していました。
ただ、バタコさんの項目で後述しますが、アニメではおじいさんと孫という設定だった時期がありました。アンパンマンは設定が厳密に決められているわけではないのに加え、やなせ氏の考え方もそのときどきで変わっていたことが原因のようです。
バイクを乗りこなす姿はグッズにもなっている
ジャムおじさんが乗っているものといえば「アンパンマン号」が真っ先に思いつきますが、実はバイクも乗りこなすことができます。ジャムおじさんがバイクで休日を過ごすエピソード「ジャムおじさんの休日」が再放送されたときには、SNSでも話題になっていました。
なお、ジャムおじさんがバイクに乗っている姿は公式グッズにもなっています。ミュージアム限定ではありますが、Tシャツやトートバッグなどさまざまな種類が展開されています。
持ち歌の「生きてるパンを作ろう」は昔と今で歌詞が違う
ジャムおじさんとバタコさんの歌う「生きてるパンを作ろう」は、今と昔で歌詞が変わっています。現在のバージョン(~Brand New ver.)では「食べずにいれば生きられない」と歌っているところが、旧バージョンでは「食べずにいれば死んでしまう」と歌われているのです。
アンパンマンの楽曲でバージョン違いが出されるのは珍しく、声優さんが変わって新しく歌われたもの(「ホラーマンメチャクチャチャ」など)以外ではほとんどありません。そんななか、同じ声優さんで「生きてるパンを作ろう」が歌い直されたのは、歌詞変更をするためだと思われます。
そうまでしてなぜ歌詞を変えたかったのかといえば、子ども向けに表現をやわらかくしたかったからだと考えるのが自然です。楽曲を聴いてみるとわかるのですが、「死んでしまう」という歌詞は何度も繰り返す部分で、なかなか衝撃的なんですよね……。
とはいえ、もともとやなせ氏が書いた楽曲は「死んでしまう」バージョンです。作者の強い思いが反映されている旧バージョンの歌詞も、大切にしなければいけないように思います。
バタコさん
名前 | バタコさん |
---|---|
性別 | 女 |
モチーフ・名前の由来 | バター |
初登場(絵本) | 不明※ |
初登場(アニメ) | 1988年:第1話「アンパンマン誕生」 |
関係の深い仲間 | バタコさん |
持ち歌・テーマソング | |
声優 | 増岡弘→山寺宏一 |
※多くの原作絵本に登場しているのは確認できたのですが、初登場についてはわかりませんでした。情報をお持ちの方は教えていただけると幸いです。
アニメの1話では「(ジャムおじさんの)孫のバタコ」と自己紹介していた
アニメ1話目の段階では、バタコさんはジャムおじさんの孫という設定でした。裏設定というわけではなく、作中でしっかりと「孫のバタコ」と自己紹介しています。その設定がいつなくなったのかははっきりしていませんが、今ではアンパンマンwebサイトのQ&Aにもあるとおり、「無関係」となっています。
車の「バタコ」が名前の由来という説が話題になったが……
バタコさんの名前の由来は「バタコ」というオート三輪なのではないか?という説が、一時期ネットで話題となりました。楽曲「勇気りんりん」の歌詞である「バタバタ走るよバタコさん」というのも、その説を後押ししていました。
ところが、オート三輪説は公式によって否定されています。2000年に出版された「アンパンマンvsアンパンマン」には、やなせ氏が「ジャムだからバター」と言及しているのだそうです。
バタコさんの彼氏がおむすびまんだという説は本当?
現在はあまり描写がありませんが、初期のアニメではバタコさんに恋をしているキャラクターもいました。レギュラーキャラの中ではカツドンマンやおむすびまんがバタコさんに恋心を抱いており、中でもおむすびまんはプレゼントをわたすなど、積極的な行動を見せていました。
そのこともあり、バタコさんの彼氏はおむすびまんなのではないかと予想する声も多くあります。二人の関係性ははっきりと描かれているわけではなく、そもそも最近のアニメではおむすびまんが好意を抱いている描写もありませんが、今度が気になるところです。
めいけんチーズ
名前 | めいけんチーズ |
---|---|
性別 | 男 |
モチーフ・名前の由来 | チーズ |
初登場(絵本) | 1984年:アンパンマンとへどろまん |
初登場(アニメ) | 1988年:第1話「アンパンマン誕生」 |
関係の深い仲間 | バタコさん・レアチーズちゃん |
持ち歌・テーマソング | - |
声優 | 山寺宏一 |
チーズの名付け親はバタコさん!由来は?
「チーズ」という名前はもともとついていたものではなく、バタコさんが名付け親です。そもそもチーズは、森の中で泣いていたところを幼少期のアンパンマンに助けられたのがきっかけで、パン工場に住むようになったという過去を持ちます。
なぜバタコさんが「チーズ」と名付けたのかはわかりませんが、パンに相性のいいものを考えると、「ジャム」「バター」ときたら「チーズ」が出てくるのも納得がいきます。
チーズではなく「めいけんチーズ」が正式な名前
普段はみんな「チーズ」と呼んでいますが、実は「めいけんチーズ」が正式な名前です。webサイトのキャラクター紹介ページでも「た」行のところには載っておらず、「ま」行のところにいます。(夫が「チーズが載ってない!」と一生懸命探していました。こういう方も多いのではないでしょうか……)
ちなみに、「アンパンマン大研究」によると、犬種が「めいけん」なのだといいます。
チーズは本当はしゃべれる?
チーズは普段「アンアン!」と鳴いている印象が強いですが、やなせ氏によると、本当は喋れるけれどしゃべらないだけなのだそうです。バタコさんをはじめとする周りのキャラクターたちは、鳴き声だけでチーズの言うことを理解できているので、確かにしゃべる必要はないのかもしれません。
とはいえ、絵本では普通に言葉をしゃべっている場面もよく出てきます。初期作品だけでなく、意外と新しめの絵本で喋ることもあるので、読み聞かせをしていてびっくりすることがあります。
チーズの正体は裏切り者……そんな噂が立ったのはなぜ?
チーズの正体は元ばいきんまんの手下で、ばいきんまんにとっては裏切り者だ……という噂があります。なぜこんなふうに言われだしたのかいうと、「だれも知らないアンパンマン -やなせたかし初期作品集」に載っている作品に秘密があります。
この本には、アンパンマンは犬が苦手だと知ったばいきんまんが、アンパンマンをやっつけるためにチーズを送り込んだというエピソードが収録されています。その後、チーズはばいきんまんを裏切り、アンパンマンサイドについています。
この作品中では「チーズ」という名前が最初からつけられているなど、アニメ版とは異なる点が多くあります。そのため、「現在アニメに出ているチーズ=もともとばいきんまんの手下」というわけではありません。
チーズバケット号はパンでできている
チーズは犬ですが、「めいけん」なので、乗り物の操縦もできます。チーズ専用の乗り物「チーズバケット号」は、ジャムおじさんがチーズのために作った飛行機で、なんとパンでできているのだそうです。
なお、チーズバケット号は「レアチーズちゃんと空を飛びたい」というチーズの願いで作られたので、座席は2つあります。
レアチーズちゃんが好き!カマンベールくんはライバル?
めいけんチーズが恋をしている相手が「レアチーズちゃん」で、この子はウサこちゃんの愛犬です。レアチーズちゃんもチーズのことが好きである描写がされており、2人はよくデートにも行っているようです。
2020年に放送された「めいけんチーズとカマンベールくん」では、レアチーズちゃんん絵を描いてあげたカマンベールくんに、チーズがやきもちを焼く場面もありました。カマンベールくんが今後も継続して登場するのであれば、恋のライバルとして描かれるかもしれません。
さいごに
アンパンマンの主要キャラである、パン工場に関わる仲間たちについて解説してきました。調べながら、意外な設定にいきあたることもあり、とても楽しかったです。個人的にはチーズが推しなので、カマンベールくんがもっと登場してレアチーズとの関係がさらに描かれたらうれしいなと思っています。
なお、本記事で紹介するにあたり、できる限り資料を購入して調べるようにしたのですが、まだ入手できていない昔の本もいくつかあります。手に入りにくいものなのですが、なんとかして読んで、情報の追加ができたらな……と思っています。
関連記事
ばいきんまんの仲間やその他のキャラクターについては、順次更新予定です。
参考サイト
執筆にあたり、参考にさせていただいたwebサイトです。参考文献については、記事中に引用元として記載してありますので、そちらをご覧ください。
それいけ!アンパンマン (それいけあんぱんまん)とは【ピクシブ百科事典】