こんにちは、すずめです。クリスマスの絵本が読みたい季節になりました。シリーズものの絵本にはクリスマスものが入っていることも多いですよね。アンパンマンシリーズにも、もちろんクリスマスをテーマにした絵本があります。
ところが、ちょっと珍しいことに、アンパンマンのクリスマス絵本はやなせたかし氏によるものだけで4冊もあります。そして、タイトルは「アンパンマンのクリスマス」「アンパンマンのクリスマス・イブ」「アンパンマンとメリークリスマス!」「アンパンマンのサンタクロース」と、どれもとても似ているんです。
実際に読んでみると、4冊すべてを違った絵本として捉えられるのですが、これから買おうと思っている人にとってはどれも同じに見えてしまうのではないかと思います。そこで本記事では、アンパンマンのクリスマス絵本4冊について、あらすじや内容、テーマ、おまけや構成などの違いについて詳しく比較・解説していきます。
あらすじ・内容
アンパンマンのサンタクロース
あらすじ
クリスマスの準備をしていたアンパンマンは、高い雪山で誰かが助けを呼んでいるのに気がつきます。その声の主は赤鼻のトナカイで、そばには雪に埋まってしまったくまのサンタクロースがいました。
すぐにパン工場に連れていきますが、くまサンタはしもやけがひどく、プレゼントを配りにいけません。そこで、アンパンマンが代わりにサンタクロースの役割を果たすことに。ところが、楽しくなったアンパンマンはプレゼントを配り過ぎてしまい……。
特徴
4冊の中で発行年が一番古く、新しいものと比べると絵や雰囲気もだいぶ違っています。初期ならではの「顔がないのに飛んでいるアンパンマン」の描写があり、初期のアンパンマンを読んだことのない子にとっては衝撃かもしれません。
文章が縦書きで書かれている、右開き絵本です。ちなみに、カレーパンマンが絵本初登場を果たしたのも本作で、服の色が現在と違う様子が確認できます。
アンパンマンのクリスマス
あらすじ
北の国でプレゼントの用意をしていたサンタクロースが、ばいきんまん連れ去られてしまいました。必死に湖の氷を割ろうとしているトナカイを見つけたアンパンマンは、その下にサンタクロースがいることを知り、いっしょに湖の底へ向かいます。
湖の底にあるばいきんまんの隠れ家では、サンタクロースが氷漬けになっていました。ばいきんまんは、助けに飛び込んできたアンパンマンもアイスガンで氷漬けにしようとしましたが……。
特徴
「ほんとうのサンタクロースはちいさい」という考えのもとで描かれています。古い作品なので、アンパンマンがちょっと破天荒なのがおもしろいです。(湖の氷を割る場面で、トナカイを抱えて飛び上がり、トナカイの角で割ったのはつい笑ってしまいました。アンパンチとかじゃないんだ……)
絵が古くはありますが、現在のデザインに近づいてきています。なぜかしょくぱんまんの服の色が現在と異なり、黄色い服を着ています。(これより前に発行された「サンタクロース」では現在のような色になっているのですが)
アンパンマンとメリークリスマス!
あらすじ(まっしろなクリスマス)
パン工場に、サンタクロースからSOSの手紙が届きます。アンパンマンがクリスマスの谷へ様子を見にいくと、雪が真っ黒に汚されており、サンタのそりが走れない状態になっていました。サンタを動けなくしてプレゼントを独り占めしようと考えた、ばいきんまんの仕業です。
雪を黒くするクロダルマンに顔を汚され、アンパンマンは岩の割れ目に落ちてしまいます。しかしそこには深い洞穴があり、中には避難していたユキダルマンやサンタクロースがいました。なんとかパン工場まで帰るため、赤鼻のトナカイのルドルフの背に乗って走り出します。
特徴
メインとなるストーリー「まっしろなクリスマス」のほかにも、たくさんのコンテンツが収録されています。詩1作、マンガ2作に加え、クリスマスについて知れるコラムや迷路ゲーム、アンパンマンからのクリスマスカードも付属しています。
ボリュームがありわくわくさせられる1冊なのですが、4冊の中で唯一絶版になっているのが難点です。メルカリなどのフリマサイトや古本屋で見つけるのが主な手段となり、新品の購入は難しそうです。
アンパンマンのクリスマスイブ
あらすじ
パトロール中に雨に降られたアンパンマンは、雨宿りしようとおりた森の中で、木の中で雷から身を守るキャンドルちゃんに会いました。アンパンマンがクリスマスの谷まで送り届けたそのとき、雪嵐が起こり、クリスマスの谷がみんな埋もれてしまいました。
雪嵐を起こしたのは、ばいきんまんに騙されたなだれおにでした。ルドルフに助けられたキャンドルちゃんは、雪だるまになったアンパンマンを助けることに成功します。パン工場に向かうアンパンマンたちを見送っていると、突然地面が揺れ出して……。
特徴
4冊の中で一番新しく、絵の雰囲気やキャラクターデザインが安定しています。途中にしかけのあるページがあり、見開き部分を上に開くと迫力のある大きさ(絵本の2倍)で絵が見られるようになっています。
悪いことをしたばいきんまんたちにも最後はいいことがあり、ほっこりした気持ちで読み終わることができます。ラストページには丸いクリスマスカードのおまけがついているので、クリスマスプレゼントにしてもよさそうです。
違いを一覧で徹底比較!
表が切れている場合は、横スクロールしてお読みください。
サンタクロース | クリスマス | メリークリスマス! | クリスマス・イブ | |
---|---|---|---|---|
出版年 | 1981年 | 1988年 | 1998年 | 2004年 |
メインゲスト | くまサンタ トナカイ |
サンタクロース トナカイ |
サンタクロース ルドルフ キャンドルちゃん なだれおに |
サンタクロース ルドルフ クロダルマン ユキダルマン |
悪役 | - | ばいきんまん | ばいきんまん | ばいきんまん クロダルマン |
ページ数 | 32p | 32p | 48p | 36p |
しかけ | - | - | 1箇所 (左右に大きく開く) |
1箇所 (上に大きく開く) |
おまけ・付録 | - | - | 詩・漫画 クリスマスカードなど |
クリスマスカード |
流通 | ○ | ○ | 絶版 | ○ |
こんな人におすすめ!
サクッと読みたい!→「サンタクロース」
4作の中で一番文章量が少なく、サクッと読めるのが「アンパンマンのサンタクロース」です。ページ数は「クリスマス」と同じですが、1ページあたりの文章が短くわかりやすいため、長いお話が苦手な子でも聞きやすいかもしれません。
シンプルな話がいい!→「クリスマス」
「アンパンマンのクリスマス」は、「悪のばいきんまんVS正義のアンパンマン」という構図を最低限の登場人物で描いています。サンタやトナカイ以外のゲストが登場しないため、シンプルで理解しやすい作品です。
いろんなコンテンツが読みたい→「メリークリスマス!」
「アンパンマンとメリークリスマス!」には、メインストーリーだけでなく、さまざまなコンテンツが収録されています。絵本と雰囲気の異なる絵が使われている詩や、なかなかお目にかかれないマンガ作品も入っているため、アンパンマンのファンにおすすめです。
クリスマスプレゼントにしたい→「クリスマス・イブ」
「アンパンマンのクリスマス・イブ」はカバーのタイトル部分に金の箔押しがされており、クリスマスらしい煌びやかさがあるため、プレゼントにおすすめです。また、巻末には切り取り式のクリスマスカードが同封されています。
こんな人にはおすすめできないかも……
繊細な子→「サンタクロース」は△
「アンパンマンのサンタクロース」は古い作品なので、初期作品独特の描写があります。「顔がないのに飛んでいる」という描写もそのひとつです。顔の食べ方も現在より直接的で、「顔を食べられている」感が強くなっています。
顔の食べ方や、首なしの描写などは、初期作品を読んだことのない子にとっては衝撃的だと思います。繊細な子はショックを受けてしまう可能性もあるため、見せる前に大人が確認しておくといいかもしれません。
アニメと違うキャラデザは嫌→「クリスマス」は△
アニメなどで見慣れたキャラクターとデザインが違うのが嫌なら、「アンパンマンのクリスマス」は向かないかもしれません。しょくぱんまんの服の色が今とはだいぶ違っており、違和感を覚えるからです。(服は黄色、手足はピンク、マントは灰色)
とはいえ、しょくぱんまんはメインとして登場しないため、少しなら大丈夫という方なら気にしなくていいと思います。ただ、こだわりの強い子に見せた場合、「いつもと違う」ということにばかり気を取られ、お話に心がいかなくなってしまう可能性があるかもしれません。
古本に抵抗がある→「メリークリスマス!」は△
「アンパンマンとメリークリスマス!」は既に絶版となっており、書店で新品を購入するのが難しい絵本です。そのため、古本に抵抗があるのであればおすすめできません。どうしても新品がほしいのであれば、新品同様の商品をフリマアプリや古本屋で探すしかなさそうです。
さいごに
4冊のうち、わたしのお気に入りには最も古い「アンパンマンのサンタクロース」です。アンパンマンに人間味があり、くすっと笑える独特の雰囲気が大好きです! 1歳9ヶ月の娘は「アンパンマンとメリークリスマス!」が好きみたいです。ユキダルマンがたくさん出てくるのが楽しい様子。
みなさまもぜひ、自分にとっての気に入った1冊を見つけてみてくださいね。素敵なクリスマスと年末年始を迎えられますように!