すずめ書店

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だるまさんシリーズの徹底解説*対象年齢・人気の理由など

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 こんにちは、すずめです。妹に出産祝いとしてもらった「だるまさんが・の・と」3冊セットが、1歳を前にした娘に大ヒット中です。

 独特なデザインのだるまさんを主人公にするだるまさんシリーズは、小さい子の心を掴んでくれる絵本です。実際に買った方の評価にも「赤ちゃんが笑う」というものが多く見られます。でも、大人から見るととてもシンプルな絵本なんですよね。

 そこで今回は、だるまさんシリーズの人気の理由を考察し、徹底解説することにしました。「が・の・と」それぞれの紹介やおすすめのものも紹介しますので、ぜひご覧ください。

こんな人向けの記事

・だるまさんシリーズについて詳しく知りたい

 

更新履歴

・2024年1月21日 ボードブックについて追記

赤ちゃんがよく笑うだるまさんシリーズ

だるまさんシリーズの基本情報

だるまさんが

作者は絵本作家のかがくいひろしさん

 このシリーズの作者は、2005年に絵本作家デビューされたかがくいひろしさんです。リアル寄りな絵でありながら想像を超える動きをするおもしろさが魅力で、「おもちのきもち」「ふしぎなでまえ」などの絵本を描かれました。

 しかし、デビューからわずか4年後の2009年に膵臓がんで亡くなりました。短い期間にたくさんの絵本を残されていますが、その中でも最も有名でたくさんの人に知られているのが「だるまさんが」「だるまさんの」「だるまさんと」の3冊です。

発行されたのはいつ?

 だるまさんシリーズの1作目「だるまさんが」が出版されたのが2007年、「だるまさんの」「だるまさんと」の続編は2008年に出版されています。ロングセラーが多い絵本の中では比較的新しい方で、今の親世代は大人になってから知った方が多いようです。

定価はいくら?

 3冊すべて同じ値段で、850円+税となっています。本は基本的にどこで買っても値段が変わりませんが、店舗によってはポイントサービスが受けられたり、Amazon楽天では独自のポイントが付いたりします。

だるまさんシリーズのねらいを考察

だるまさんの (かがくいひろしのファーストブック)

リズムを繰り返す楽しさを味わう

 3冊とも、全体の半分は「だ・る・ま・さ・ん・が……」「だ・る・ま・さ・ん・の……」という文字と左右に揺れるだるまさんたちの絵が描かれたページです。言葉のリズムを味わいながら体を動かし、それを繰り返して楽しめる構成になっています。

体を動かしたり人と触れ合ったりして楽しむ

 だるまさんが、とくると「転んだ」と言いたくなりますが、この絵本では独特の効果音と共にだるまさんが大きく伸びたり、ばななさんとおしりをくっつけたりと、いろいろな動きを見せてくれます。

 それを真似すると、自分では想像がつかないような新しい動きを習得したり、パパやママと触れ合ったりして遊ぶことができます。

何ヶ月から何歳まで楽しめる?

だるまさんと (かがくいひろしのファーストブック 3)

0歳2〜3ヶ月からじっと見つめる子も

 だるまさんシリーズはファーストブックにも推奨されているほどなので、まだ小さい赤ちゃんにもおすすめです。早い子だと、物をじっと見るようになる2ヶ月〜3ヶ月ごろから意識を向けてくれます。

本格的に楽しめるようになるのは6ヶ月以降が多いよう

 本そのものをしっかり楽しめるようになるのは、5・6ヶ月ごろからの子が多いようです。ただし個人差も大きく、もっと早くから読み聞かせを喜ぶ子もいればなかなか反応を見せない子もいます。焦らずその子の成長にあわせて読んであげましょう

3歳、4歳はもちろん大人になっても楽しめる

 だるまさんシリーズは対象年齢を「0歳から」としており、何歳までというのは明記されていません。それもそのはず、この絵本は大人が読んでもおもしろいと感じる魅力を持っています。そのため、3歳を過ぎてもこの絵本を離さない子もいるそうです。

だるまさんシリーズが人気の理由を考察

 だるまさんシリーズのどの部分が赤ちゃんの心を掴むのかを考察してみました。あくまで個人の考えですが、魅力となる部分を知っておくと読み聞かせのときにも役立ちそうです。

なぜ赤ちゃんが笑う?その魅力とは

笑っている赤ちゃんの写真

繰り返しの言葉を使っているため頭に残りやすい

 だるまさんシリーズは3作とも、「だるまさんが……」「いちごさんが……」などの繰り返しフレーズをメインに進行します。その印象的な言葉が頭に残りやすく、赤ちゃんにとってなじみあるものになりやすいのかもしれません。

赤く丸いだるまさんが赤ちゃんの目を引きやすい

 赤ちゃんが形を認識する力は、まず丸から発達していくことが研究により明らかになっています。また、色は明度の高い赤・黄・青などが早い段階で認識できるようになり、その中でも暖色系の赤や黄色を好むのだそうです。

 つまり、赤ちゃんは丸くて暖色系のものに注目しやすいということになります。だるまさんのフォルムは丸っこく、色はきれいな赤色で、その条件にぴったりです。そのため赤ちゃんが認識しやすく、目を引くのではないでしょうか。

いないいないばあのような予測→結果を楽しめる

 赤ちゃんが「いないいないばあ」を好むのは、「いないいない」でその後ろに隠れているものがあることを予測し、「ばあ」で実際に出てくる結果が楽しいからです。「くるぞくるぞ」「やっぱりきた!」という予測→結果を楽しんでいます。

 だるまさんシリーズも「だるまさんが……」で次に出てくることを予測し、期待が高まったところで想像通りの絵が登場すると、赤ちゃんは大喜びします。そのため、内容がわかっていても繰り返し読んでほしがるのだと思います。

大きくなると動きを真似して遊べる

 だるまさんたちは動きが大きく、全身を使って転んだり伸びたりしています。その姿はつい真似したくなるもので、体を自由に動かせる年齢になればまねっこ遊びもできます。これこそが、3歳ごろの子供の心も掴むポイントのように感じられます。

怖がる・泣くという口コミも……なぜ?

大小さまざまのだるまが積み上げられている写真

 だるまさんシリーズの口コミを見ると概ね好評なのですが、中には「怖がる」「泣く」などの感想を書いている方もいます。赤ちゃんに好まれる要素がたっぷりのだるまさんなのに、なぜ怖がってしまうのでしょうか。

 一概に言えませんが、だるまさんを見ると泣く原因のひとつに、本物のダルマを思い出し怖くなってしまうというものがあると思います。ダルマは眉が太く目力があり、怒っているようにも見えます。また、目がないものはどこを見ているかわかりません。

 なんにせよ、怖がるのであれば無理に見せないようにしましょう。少し成長してから見せてみると、怖がっていたのが嘘のようにお気に入りになる子もいるようですよ。

だるまさんシリーズのあらすじ・内容

 絵本紹介といえばまずあらすじを紹介するものですが、だるまさんシリーズは物語性がなくあらすじが存在しません。そのため、どのような内容でなにを楽しめるのかを中心に紹介していきたいと思います。

基本の3冊・セット商品

だるまさんの予想外な動きがおもしろい「だるまさんが」

 だるまさんシリーズの基本となる第1作目です。だるまさんのダイナミックな動きがおもしろく、だるまは硬いというイメージが覆されます。「だるまさんが……」に続く効果音が特徴的で、つられてポーズを真似したくなってしまう1冊です。

手や目を主張するおおげさな動きが楽しい「だるまさんの」

 目や手など、体の部位をテーマにしています。「だるまさんの……」「め」とシンプルな言葉のみで進行しますが、大袈裟に目や手を主張するだるまさんがおもしろく、大人もつい笑ってしまいます。体の部位の名前を覚えるのにも役立ちそうです。

親子で触れ合いながら読める「だるまさんと」

 だるまさん以外のキャラクターが登場し、「いちごさんと……」「めろんさんと……」と展開していきます。おじぎをしたりおしりをくっつけたりと、他者との触れ合いがテーマになっているのが特徴です。親子で真似すると楽しいですよ。

出産祝いやプレゼントにぴったりの「ケース入り3冊セット」

 だるまさん「が の と」の3冊全てがケースに入っているセットです。ケースには「招福」の文字がありおめでたい雰囲気なので、出産祝いの贈り物にするのもいいですね。

身長計入りで成長を見守れる「限定版ギフトボックス」

 折り畳まれた身長計がついているギフトボックスです。値段は通常の3冊セットと変わりません。身長計にはだるまさんたちが描かれており、0cmから180cmまで計測できます。限定版なので、気になる方は早めにチェックしておきましょう。

待望のボードブック版がついに発売!

 だるまさんシリーズ読者は赤ちゃんが主であることから、紙が分厚く破れにくいボードブック版の発売が期待されていました。ところが、だるまさんシリーズが発売された2008年から2023年に至るまで、通常のハードカバー版のみの展開でした。

 そして「だるまさんが」の発売から約16年となる2024年1月1日、ようやくボードブック版が発売されました! うれしいことに、「だるまさんが」「だるまさんの」「だるまさんと」の3冊全てでボードブック版が出ています。

 通常よりも小さめのサイズであり、外出時の持ち運びにもちょうどよさそうです。角が丸くなっているのも、安全性に配慮がされていていいですよね。加えて値段も少し安くなっているため、今後はボードブックがスタンダードになるかもしれませんね!

どれが一番赤ちゃんウケがいいの?

 どれが赤ちゃんに好まれるかは個人差があり一概に言えませんが、どれか1冊を購入するのならまず「だるまさんが」を選ぶのがおすすめです。シンプルな構造でありながら赤ちゃんの心を惹きつける、シリーズの魅力が全て詰まっているからです。

英語版の発売は?

 だるまさんシリーズは、発売されてから長い間、英語版やボードブック版などのバージョン違いは展開せず、スタンダードなハードカバータイプの絵本のみが出版されていました。ところが、2024年に待望のボードブック版が発売されました

 現時点では、英語版が発売されるという情報はありませんが、ボードブック版が出た今、次に発売されるなら英語版ではないかと予想できます。英語版があれば日本の文化であるだるまを海外に知ってもらうこともできますよね。今後に期待しましょう。

グッズやぬいぐるみの販売はある?

2体のくまのぬいぐるみが机の上に座っている写真

 好きな絵本のグッズやぬいぐるみがほしくなる方は多いですが、残念なことにだるまさんシリーズはグッズ等の販売がありません。しかし、2018年には10周年を記念して、2000名にランチボックスとランチ巾着が当たるフェアが行われたことがあります。

 もちろん現在は終了しており、そのときのグッズを手に入れるのは困難です。でももしかすると、15周年や20周年などの節目で同じようなキャンペーンが行われるかもしれません。適宜サイトをチェックして、情報を集めておきましょう。

darumasan.bronze.co.jp

さいごに

 だるまさんたちはユーモアに溢れていてかわいらしく、たくさんの赤ちゃんの心を掴んできました。幅広い年齢の子が、パパやママといっしょに楽しめる素敵な絵本シリーズです。ぜひ1冊手に取って、赤ちゃんや子どもたちとのコミュニケーションに役立ててください。