すずめ書店

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谷川俊太郎展「絵本★百貨展」に行ってきました*展示レポ・感想など

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 こんにちは、すずめです。先日、谷川俊太郎さんの「絵本★百貨展」に行ってきました。結論からいうと、本当によかったです……。谷川俊太郎さんの絵本が好きな方はもちろん、詩や言葉が好きな方もきっと楽しめるに違いない!と思える展示ばかりでした。

 本記事では、谷川俊太郎展のレポートとして、扱っていた絵本や展示の感想のほか、スケジュールやグッズについてもご紹介していきます。また、子ども連れでも楽しめるかどうかの感想なども載せていますので、興味がある方はぜひご覧ください。

こんな人向けの記事

谷川俊太郎展の内容・様子が知りたい

谷川俊太郎展に行こうか悩んでいる

谷川俊太郎展で小さい子供が楽しめるか知りたい

 

谷川俊太郎 絵本★百貨展」について

会場の場所はどこ?

 会場の「PLAY! MUSEUM」は、中央線立川駅から歩いて10分ほどの場所にある「グリーンスプリングス」内にある施設です。2Fがミュージアム、3Fが「PARK」という子どもの遊び場になっています。

いつからいつまでやっている?

 立川のPLAY!MUSEUMでの実施は、2023年4月12日〜7月9日の2ヶ月弱が予定されています。PLAY!MUSEUMでは7月15日から次の展示(エルマーのぼうけん展)が決まっているため、延長することはなさそうです。

 また、関西などでの巡回についても、今のところは決まっていないようです。とてもいい展示だったので、今後ほかの場所でもやってくれたらいいなと思います。

チケットはいくら?

  通常 立川割
一般 1,800円 1,200円
大学生 1,200円 700円
高校生 1,000円 600円
中・小学生 600円 400円
立川に在住・在学なら立川割が適応される

 通常よりもかなり安く入場できる「立川割」は、立川市に在住している方、もしくは立川市にある学校に在学している方に適応される割引です。うらやましい……。身分証や学生証が必要なので、該当する方は忘れないようにしましょう。

土日祝は前売りチケットもある

 土日祝など、混雑が予想される日には、確実に入場できるオンラインの日時指定券(前売りチケット)の販売もあります。ただ、わたしが行った日曜の午後はそこまで混雑しておらず、入場制限がかかる様子はありませんでした。

 7月の土日は終了間際で混雑が予想されるので、混雑していても確実に入場できる前売り券を活用するのがよさそうです。

行ってきた感想

 ここからは、わたしが実際に行ってきた感想です。写真撮影が可能だったのですが、個人利用に限り撮影可能というルールだったので、写真は載せていません。公式HPに中の様子がわかる動画があったので、雰囲気が知りたい方はそちらをご覧ください。

展示について

体験型の展示が多くて楽しい

 絵本百貨展の展示は、コップの中に入ったり、おならの中に入ったりと、体験して楽しめるものがたくさんありました。美術館というと身構えてしまう人も多いですが、「PLAY!」はその名の通り、遊ぶように見られるのがとてもよかったです。

 アニメーションもいくつかありましたが、ただ観るだけでない形式のものもあり、絵本の中に入ったような気持ちで楽しめました。たとえば「もこ もこもこ」は地べたに座り、横長のスクリーンに囲まれるようにして観る展示です。(クッションもありました)朗読が谷川俊太郎さんなのも素敵でした。

知っている絵本も知らない絵本も楽しめる

 わたしは予習なしに行ったので、読んだことのない絵本や、存在を知らなかった絵本もありました。にもかかわらず、解説があったり絵本があったりと、知らない作品の展示でも楽しめる工夫がされていたので、どの展示も同じように楽しめました。

 むしろ、内容を知らなかったからこそ楽しめた展示もありました。たとえば「とき」のアニメーションは、徐々にテンポアップしていく展開にドキドキしながら観られました。原作を知らず、初見だったからこそだと思います。

言葉がいつも以上に沁みてくる

 絵本のタイトルがあり、展示があり……というわかりやすい展示が多い中で、壁にさりげなく詩の一部が書かれた場所がありました。不意打ちで出会った詩だったからか、その言葉の鋭さと優しさがいつも以上に刺さりました

 思えば絵本百貨展は、長新太さん、松本大洋さんなどのさまざまなテイストの絵が並んでいる空間に、谷川俊太郎さんの言葉がたくさん溢れている場所でした。本当に贅沢な体験ができたと思います。

絵本が自由に読めるコーナーがよすぎた

 会場内には展示が十分に楽しめるよう、展示の横に関係する絵本が置かれていました。そこももちろんよかったのですが、「ずっといたい!」と思ったのは、出口付近に置かれた本棚。谷川俊太郎さんのかかわった絵本がたくさん置かれていました

 展示に関係ある絵本はもちろん、今回の展示では取り上げられていなかったものも置いてありました。そばには発泡スチロール製の椅子があり、ゆっくり読める空間になっていたのもよかったです。(娘がぐずったので、ゆっくりはできませんでしたが……)

 が、展示を見ていてほしいと思った「うつくしい!」という絵本はありませんでした。絶版になっている絵本は置いていなかったようです。 

展示以外について

再入場が何度でもできる

 PLAY! MUSEUMは、会計後にチケットではなくシールがわたされるシステムです。それを服やかばんなどに貼っておき、それがチケット購入者の証明になります。わたしが行ったときはピンク系・台形のシールでしたが、おそらく日によって変わるのだと思います。

 そのシールを貼っていれば、それを見せるだけで当日の再入場が何度でも可能です。わたしも夫・娘を連れて2週目に突入しました。(同行した妹と母は他に買い物に行っちゃいました……笑)当日中であれば何度でも見られるというのが最高でした。

 PLAY!があるグリーンスプリングスには、飲食店やショップ、芝生や水遊びできるスペースなどもあります。午前中にミュージアムに行き、昼はグリーンスプリングス内で遊んで、夕方にまた展示を見る……なんていう過ごし方もいいですよね。

特典(おみやげ)にトイレットペーパーがもらえる

 入場者への特典(おみやげ)として、グッズ売り場で販売しているトイレットペーパーがもらえます。もちろんただのトイレットペーパーではなく、中央部分に絵本の言葉が書かれているものです。続きが読みたくなって、つい使いすぎてしまいそう。

 わたしは4人で行ったので、今手元にトイレットペーパーが4つあります。(未就学児は無料なので特典もありません)もったいなくて使いたくないという気持ちと、どんな詩が書いてあるのか見てみたいという気持ちがせめぎ合っています……。

 ちなみに、グリーンのパッケージは「オサム」、ピンクは「ままです すきです すてきです」、ブルーは「うつくしい!」の言葉が書かれているそうです。わたしの手元にあるのはすべてグリーンでした。日替わりなのかな?(ブルーがほしかった!)

グッズ売り場も楽しい

 グッズ売り場はかなり充実していて、あれもこれもほしくなってしまいました。値段設定はちょっと高めだったかなと思います。マステや付箋などの文房具のほか、Tシャツや靴下などもありました。「もこ もこもこ」のピンズやシールもかわいかったです。

 いろいろ迷った結果、わたしは本2冊(図録、「写真」)とポストカードを購入しました。でも今になってみると、あれもこれもほしかったなと思うものばかりです……。

 ショップは入場者限定で、買い物のみの利用はできないようになっていました。また、グッズのオンラインショップも用意されていないようです。入場した人しか買えないグッズがたくさんあったので、気になるものがあったら買っておくのをおすすめします。

play2020.jp

豪華すぎる図録が最高

 事前にグッズを見ていて、絶対に買おうと思っていたのが図録でした。本にしては高めの4000円越えですが、実物を見て「こんなに分厚いならそれくらいしてもおかしくないな……」と納得しました。とにかくボリュームがすごいんです。

 何よりうれしかったのが、展示を見て欲しくなった絶版絵本「うつくしい!」が全ページ載っていたこと。他にも手に入りづらい絵本が載っていたり、解説やコラム、対談などが載っていたりと、ものすごい情報量でした。読み終わるのいつになるかな。

 ちなみに、この図録に関しては会場でなくても購入ができるようです!(帰ってきてから気付きました)結構重かったので、会場に行きつつ図録はネットで買う……というのもよさそう。

小さい子どもも楽しめる?

 行く前に一番気になっていたのが、小さい子どもを連れて行っても楽しめるのかどうかでした。連れていくか母に預けるか悩んだ末に、今回は1歳3ヶ月の娘を連れて行くことに。結果としては、連れて行ってよかったです!

 あくまで娘の場合はですが、どんな展示が楽しめたのかを記載しますので、ぜひ参考にしてください。

じっと見ていた展示

・「もこ もこもこ」のアニメーション&朗読

・「とき」のアニメーション

 やっぱり動くものは気になるのか、アニメーションの展示は集中して見ているようでした。「もこ もこもこ」は家でも読んでいるので予想通りだったのですが、「とき」も静かに見ていたのはちょっと驚きでした。耳元で読んであげたのですが、多分意味わかってないだろうな……。

喜んでいた展示

・柱にあった「ぴよぴよ」の展示

 「ぴよぴよ」に出てくるひよこや犬が、会場内の柱の低いところに飾られていました。ちょうど娘の目線だったこともあってか、「きゃー」と喜びの声を出して近づいていました。小さい娘が自分で見つけられる位置にあったのがとてもよかったです。

不思議そうにしていた展示

・「かっぱかっぱらった」のけんけんぱ

・大きなコップの中に入れる展示

 「かっぱ」の詩にあわせてけんけんぱをするコーナーでは、娘をだっこしたままけんけんぱをしました。が、あとでそのときの動画を見たら、娘は「?」という顔。そりゃそうですよね、だっこされてたらけんけんぱの意味ないですもんね……。自分でけんけんぱができる年齢になれば楽しめそうでした。

 「コップ」の絵本の展示では、大きなコップの中に入れたのですが、夫に撮ってもらった写真でも娘は「なにこれ……?」の顔でした。不思議そうではあったので、好奇心は刺激されたのかな?とも思います。

絵本&展示内容

 展示の数々は、元の絵本を知っていた方が楽しめるものばかりでした。展示横や本棚コーナーにも絵本がありましたが、たくさんあるわけではないので、混雑しているときだとじっくり読めないかな?という印象でした。

 もし展示をしっかりと楽しみたいのなら、事前にどんな絵本があるかをチェックし、購入したり図書館で借りたりして読んでから行く方がいいかもしれません。予習してから行きたい方は、ぜひ以下を参考にしてください。ネタバレが嫌な方は見ないように……!

絵本紹介&展示内容の感想(ネタバレ注意)

絵本(写真・谷川俊太郎

 入ってすぐのところに、ページが開かれた状態で展示されていました。写真も言葉もかっこよかった……。

まるのおうさま(絵・粟津潔

 スクリーンへアニメーションを投影する展示。独特の世界観が絶妙に表現されたアニメでした。絵本自体は絶版だったのですが、今回の展示に合わせて復刻されたようです。

こっぷ(写真・今村昌昭)

 「こっぷは あなたを つかまえる」の言葉の後ろに置かれた大きなコップの中に、頭を入れられる展示でした。大人も子どももコップに入って写真を撮っていました。となりには他のコップも……。

ぴよぴよ(絵・堀内誠一

 柱の低いところにひよこや犬の絵が展示されていました。子どもの方が先に見つけられそうな位置にあって、見つけた娘も大喜びでした。

ことばあそびうた(絵・瀬川康男

 しゃんしゃんと音が鳴る楽器を手に持って、「かっぱ かっぱらった」のリズムに合わせてけんけんぱをする展示。子どもだけでなく大人も真剣にやっていたのが印象的でした。

とき(絵・太田大八

 大きなスクリーンに映されるアニメーションの展示。時間が現在に近づくにつれて目が離せなくなり、「いま」に辿り着く直前には思わず息を呑んでしまいました。

もこ もこもこ(絵・元永定正

 横長のスクリーンに囲まれた部屋で、地べたに座ってアニメーションを見る展示でした。朗読は谷川俊太郎さんご本人。どこを見てももこもこもこの世界が広がっているのが楽しく、でも不思議と緊張感がありました

えをかく(絵・長新太

 壁に横長の紙が貼られ長新太さんの絵がたくさん展示されていました。動物がたくさん描かれた箇所を娘が何度も指差していました。わたしは子どもの描きかたのところが好きでした!

せんそうごっこ(絵・三輪滋)

 「へいわとせんそう」と共に机に置かれ、自由に読めるようになっていました。その頭上には、せんそうごっこから引用した文章がぶらさがっていました。ごっこ」だからこそ感じられる重みがあります。

なおみ(写真・沢渡朔

 順路通りにトンネルをくぐっていくと、通路の途中に「なおみ」の写真が展示されていました。反対側の壁には昔ながらの掛け時計。講談師の神田京子さんによる朗読が流れていて、異世界感のある不思議な空間になっていました。

うつくしい!(写真・塚原琢哉)

 デジタルモニターに、絵本の見開きが順番に表示されていく展示でした。絶版で手に入らないため、全ページがその場で読めるようにしていたのだと思います。会場以外で読みたいなら図録の「谷川俊太郎 絵本★百貨典」を買うのがおすすめです。

ままですすきですすてきです(絵・タイガー立石

 扉(表紙を開いたところに描かれているのと同じもの)があり、その壁の向こうに絵が展示されていました。原作は未読だったのですが、描き込まれた絵には一気に惹きつけられました

おならうた(絵・飯野和好

 中に入れるおならドーム(?)がありました。「ぷ」「す」などの文字が浮かんでいて、子どもが喜んで入っていました。中には絵の展示も。

かないくん(絵・松本大洋

 「ぼく」と共に展示されていました。重みがあるからこそ美しい絵が心に残りました。置かれた絵本は常に誰かが手に取っていてわたしは読めなかったので、今度ゆっくり読みたいと思います。

これはすいへいせん(絵・tupera tupera)

 絵本の数ページを抜粋し、絵と文章が展示されていました。全ページではないからこそ、この絵とこの絵のあいだにどんな絵があったのか想像するのがおもしろかったです。

へいわとせんそう(絵・Noritake

 「せんそうごっこ」と共に、戦争をテーマにした机に置かれていました。Noritakeさんの絵がシンプルだからこそ心にまっすぐ刺さってくる絵本ですよね。

オサム(絵・あべ弘士)

 衝立にオサムの文章が書かれていて、その裏に絵本の詳細が書かれていました。「オサムって誰?」と思って裏を見て、「ゴリラだったんだ!」とわかったときの衝撃といったら。

ぼく(絵・合田里美)

 「かないくん」と共に展示されていました。水晶玉に入った宇宙を眺める「ぼく」の絵の横に、それを再現したかのようなクリスタルが置かれていました。初めてこの絵本を読んだときの衝撃を思い出しました……。

ここはおうち(絵・junaida)

 絵が複数枚展示されていました。とにかくおしゃれでかわいい。細かなところまでじっくり見られて満足です。絵本は未読なのですが、読んでみたくなりました。

和田誠との絵本あれこれ

 「和田誠との絵本あれこれ」は、チラシやHPに記載されていた言葉です。実際には「あな」や「これはのみのぴこ」、「いちねんせい」などの絵本がベンチに置かれていました。ベンチには穴が掘られていて、「あな」の文章が書かれていました!

初公開の新作も!

 既存の絵本から抜粋した展示だけでなく、絵本★百貨展のための新作もありました。「すきのあいうえお」という作品で、スクリーンに展示されている映像で楽しめます。椅子も用意されているので、休憩がてら観ている方もいたようでした。

さいごに

 本当は展示が始まった4月に行きたかったのに、なんだかんだでギリギリになってしまいました。でも、行けて本当によかった! 知っている絵本も知らなかった絵本も楽しめる展示ばかりで、とても満足しています。

 ネタバレをあまりしないよう軽めの感想になりましたが、このレポートが行きたいと思っている人への後押しになればうれしいです。また、行きたくても行けなかった方に少しでも会場の様子が伝わったらうれしいです!

 谷川俊太郎さんの手がけた作品は、絵本も詩集も翻訳も素晴らしいものばかりだと思います。絵本百貨展でもっと読みたい欲が高まったので、しばらくは図録や谷川さんの作品を読み漁ろうと思います。